M-1GP2009決勝の三組「ハライチ」「モンスターエンジン」「パンクブーブー」予習

決勝メンバーは以下の8組+敗者復活。

1.ナイツ
2.南海キャンディーズ
3.東京ダイナマイト
4.ハリセンボン
5.笑い飯
6.ハライチ
7.モンスターエンジン
8.パンクブーブー


特に後半3組をあまり見たことがなかったので、
仔細な分析↓に刺激されて、少し調べてみた。

殺人(笑)時代「M-1グランプリ2009決勝メンバーを語ってみるんだぜ」
http://omoshow.blog95.fc2.com/blog-entry-880.html


6.ハライチ
突き放してツッコミにひたすら頑張らせて笑わせるスタイル。ちょっと過剰かな、と思わせるくらいネタを引っ張ったり突込みを冗長にしたりするところが、吉と出るか凶と出るか。ボケの岩井が完全に横を向いて立っているのが印象的で、前見れないくらいの彼の心の歪みとか屈折がこのネタを生んでるのかと思うと面白い。澤部は自称童貞の星で「結婚するまで童貞をつらぬく!」と言っている@wiki


スタンダードなネタはこんな感じ。


序盤、岩井のジャケットのポケットのふた(フラップというらしい)が裏返るのばっかり気になってしまう。これ、「ずっと裏返ったままやったで」というのを狙ってやったらだいぶ面白いよなぁ。


あとはこれ。

2:47から、ネタ飛んでます。挽回できてねぇ(笑)。





言葉遊びの域を越えたその先がちょっとでも見えたら、めちゃくちゃ面白くなるコンビなんじゃないでしょうか。

ただ

……笑い飯の後だからなあ。どうなるかなあ。

が懸念事項。






7.モンスターエンジン
その発想はなかったわ」が一番の褒め言葉なんじゃないかと思うコンビ。ジャルジャルもだけど。


コンビネタはいっぱいあるのだが、それよりも一番キタのが、
あらびき団」で西森が見せた「鉄工所ラップ」
1しか見たことがなかったけど、全部いい。3が特にいい。安い弁当を喰う〜〜!!!



これこそ今の日本の最高のカウンターカルチャー

「日本語でラップを行うことは困難」と言われてきたけども、それは言語の問題じゃなくて豊かさのせいだったんじゃないか、と思わせるぐらい、皮肉とハングリー精神に満ちた歌。「黒い いつも爪の中が。 白い歯を見せて笑う。」という言葉も、ブラックミュージックをそのまんまパロってるんだろうけど、不思議と絵が浮かぶというか、ちゃんと文脈が形成されてる。



そんな鉄工所の人たちのお陰で日本は支えられています。




まぁでもM-1本番では、「???」という反応が会場を包んで3秒後にスベり笑いが起こる、というバージョンも想像できるコンビではある。王道ネタがどこまで面白いのか期待。






8.パンクブーブー

しかし一方で、ここぞというときに自分たちのやりたいことをやってしまうマイウェイなところもある(2005年3月に行われたチャンピオン大会で彼らが披露した『車掌』漫才は、今でも伝説として語り継がれているとかなんとか)。


オンバトで何度か見たことあるだけで、これは知らなかった。しかし、確かにそういう質(たち)なんだろうなーというのはネタを見ていたらなんとなく理解できた。



これはエンタ初出演?の時の動画。ネタを超えて、ツッコミの黒瀬のプライベート暴露に持っていく「敵を欺くにはまず味方から」殺法。
エンタや日テレにちょっとかましてやろうというボケの佐藤哲夫の意気込みみたいなのが感じられる。手法としてはそれほど新しくないかもしれないけど、面白い。


予定調和で終わったら消える、
一発屋になってしまう、
そんな恐怖感がそうさせるのか、
それとも単に佐藤がオカシイのか。




こちらはオンバト
確かに、後半、「グダグダしてきたんでネタ変えまーす」とやってしまっている(笑)。
コレ自体が込みのネタなのかも?と疑えもするが、これはきっとマジだろう。




「予定調和だなぁ」と自分で分かってしまうと、もうすぐにやめたくなる姿。
それを「芸人として心が弱い。最後までやってちゃんと評価されるべき。」と見るか、
「もうそんな時代じゃない。とにかく崩すことで笑いってのは生まれる。」と見るか、難しいところ。


でもやっぱりM-1だから「予定調和で面白い」のが前提だしなぁ。






そういう点ではちょっとツッコミのバリエーションが少ないというか、弱い気がする。

M-1優勝コンビはどこもツッコミの努力というか「ひねり方」がハンパなく、もはや「視聴者の代弁」の域を超えている。特にすごいなと思うのがフットボールアワーの後藤だが*1、彼らが持ってるような「ひねり」というか、ワンランク上のツッコミがないとパンクブーブーはけっこう厳しいんじゃないかと思う。


同じ出演者で言うと、南海キャンディーズの山ちゃんやナイツの土屋がライバルか。その辺りと並ぶくらいの当意即妙さを見せて欲しい。



ネタ中で「いいな」と思ったのは次の動画の1:56あたり。



「レジャーが二つほど入ってるよ」「いいよそんな新聞の勧誘みたいなの」
こういうのが効いてきたら、もしかするかもしれない。





しかし、テレビや動画を見たり考えたりするにつけ、視聴者のレベルがガンガン上がってるなぁと実感する。
お笑いをやってる人は本当に大変。



優勝予想は「敗者復活の勢いのあるコンビ」に一票。
笑い飯は、「こんだけ出て、取れなかった」という笑いの十字架を背負って生きていって欲しい。

*1:タモリ倶楽部」10月放送の「ヒゲ」の回にて、後藤が出演者(毛深い俳優で有名)の小倉久寛に対して「小倉さん、四捨五入したら猿ですよ」と言った。こういうのが出てくるのは本当にすごい。