修論提出と、大盛りを喰いきれない症候群の話。

無事修論を提出。


出した後、安心して久しぶりに外食しようと出かける。
そこで、いつもよくやってしまう失敗を繰り返してしまい、ほとほと嫌になってしまった。




それは、「大盛りを頼んで、全然喰いきれない」という症状だ。


お店に入る前はもうリビドーが渦巻いていて、あれでもこれでも何でもいくらでも、食べることが出来るんじゃないかという一種のトランス状態にある。提出を終えた日も、せっかくだし良い物でも食べようと、近所の焼肉屋がいいか…、かっぱ寿司まで行くか、ああ横浜のオムライスも…、と悩みながら駅に向かう心中は食べ物のことでいっぱいだった。


最終的に、そこそこ近くにある保土ヶ谷ハングリータイガーへ行くことにし、チャリにまたがる。
どうしようなぁ、いっちょステーキでも…、いや高いか。でもせっかく論文書けたんだし…、いやハンバーグはだいぶ美味しかったぞ、ステーキは自分のこれからのハングリー精神のために取っておいて、今回はハンバーグのチーズ乗せで…


108通りじゃ治まらない数の煩悩、妄想が、15分の道のりの中でカウントされていった。


ああ腹減った今見るとまたリビドーが…




店に着いて、胃はもう肉汁の匂いにつられて喉からひっくり返って出てきそうなくらいのテンション。
席でメニューを開いた時は、もはや自分が神にでもなったかのような全能感があった。
あれも、これも、どれでも食べられる! こんな自分はもはやスイーツなんて(笑)えない。


悩んだ末に2280円のダブルハンバーグステーキセット+トッピングチーズを頼むことにした。
ただでさえ美味しいハンバーグがダブルで!こんな短絡的な思考をしてしまう自分が恥ずかしい。



そして、隣の席の主婦同士が姑の愚痴と肉とを交互に口にするのを
横目で見、横耳で聞きながら、待つこと15分。




日本人のアメリカへの憧れが結集した肉塊、
はちきれんばかりのダイナマイトミートが運ばれてくる。










んー…… (ためてためて) 来 た 。




この時の自分のアホな顔は本当にこんな感じだと思う。




目の前で最後の仕上げをされるハンバーグステーキを見守りつつ、(最後にハンバーグを半分に切って中まで焼こうとするけど、どうも肉汁が逃げてる気がしてもったいない。貧乏性か。)
溶けていくチーズ、たぎるソースにもう唾を飲みまくり。


長い長い60秒を待って、ついに祝杯の時が来た。
フォークとナイフで火傷しそうに厚いミンチを口へと運んでいく。
当たり前だが、美味しい。
もう脳が溶けて鼻水になって出てくるほど美味しい。
そりゃO-157も住み着くわ、というくらいふわふわの肉と、
魔法の肉汁に演出される味は、舌の上の協奏曲(と書いてシンフォニー)やー!!




前掲の写真にあるとおり、「ダブル」ハンバーグはそれぞれ切り分けられ「クワドロプル」になる。
そのうちの一つを食べきったところで、あれ…と、違和感を覚える。


あれ、あ、あ、あき、あき、飽き…



いやいや、そんな考えを起こしては、せっかくの自分へのご褒美ディナーが台無しになってしまうではないか。
しかし、その違和感はボンビーがキングボンビーに姿を変えるかのごとく、
急速に絶望感へと変化していく。




こうなると、経験上、もう、無理である。



あぁ、なんでダブルになんてしてしまったんだろう…
一個にしておけば、ちょうどいい具合に胃に納まっただろうに…
いや、そもそも肉っていうチョイスが、
徹夜やジャンクフードで荒れた胃には重かったのかも…


と、後悔のビッグウェーブは何度も何度も岸壁に押し寄せる。
そして、2つ目のハンバーグを食べたところで、ギブアップしてしまった。




同じようなことが、牛丼屋で大盛りを頼んだときや、
気を張って食べ放題に出かけたときによく起こる。
自分の学習能力のなさに愕然とするが、
この話を他人にすることで治療されるかと試みてきたが、
全然改善する気配はない。


胃が構えてしまって上手く働けないのか、
それとももっと心理的な要因か(確かに満腹中枢は脳にあるしな)、



辛くも、このような原因不明の不満足に悩まされる、不幸な修論提出日となってしまったのであった。


身の丈にあった食事をしろってことですかね。




2年続けたバイトが来週最終日。
論文審査会やら旅行やらを経て、就職か。
とりあえず研修中の食事は大盛りにしないことを先に宣言しておきたい。