Web墓参りに未来はあるか

昨年亡くなられた飯島愛さんのblogに、今も毎日コメントがついているという記事。
これがWeb上での死の取り扱い方に一石を投じるかどうか気になる。

飯島愛さん(享年36)が急死してから1年がたった。ブログは当時のまま残されていて、ファン達は今でもコメントを書き続けている。飯島さんが最後に書いたブログへのコメントは6万を超えた。ファン達にとって飯島さんのブログは宝物になっていて、コメント欄はファン達の交流の場にもなっているのだという。

今、この最後のブログには、6万2500を超えるコメントが付いている。死亡して1年近く経過したのにも関わらず、毎日コメントが増えている。そこには、

  • 「あいちんは元気かな??って おかしいかもしれないけど・・・まだ何処かに居そうでさ・・・」
  • 「愛ちゃん いつも助けてくれてありがとう 私、愛ちゃんの愛にいつも救われてるょ。。。」
  • 「愛珍、大好き。毎日、貴方の事思ってます。逢いたいです。伝わってますか?」


などと綴られている。09年12月17日のコメントには、もしかしたらこの日が命日かもしれないとあって、

  • 「愛ちゃんお久しぶり 今日は愛ちゃんの命日だね。もう1年過ぎちゃったんだ」
  • 「愛ちゃん来たよ あれからもう一年だね 早いね 戻りたいね」
  • 飯島愛さんはこれからも唯一無二の存在、永遠です。愛ちゃん元気でね またね」


といったコメントが並んでいる。


http://www.j-cast.com/2009/12/19056442.html


読んでいて思い当たったのは「墓参り」。
こういう使われ方が徐々に増えていくのか、いかないのか。

今後そのblog(飯島愛のポルノ・ホスピタル)をどうするかは不明とのことだが、このまま利権とかに絡まず残るといいなぁ。




「Web墓参り」という文言ではないが、サイバー墓参りというものが韓国に既にあるとのこと。ネットインフラが普及すれば当然考えられる方法だと思う。葬儀形態にもよるが、墓地の確保や金銭的な問題がこれからどんどん増えていくにしたがって、日本でも採用される見込みはかなりあるだろうし…。ビジネスチャンス!

「サイバー追慕の家」に会員登録をすると、亡くなった個人、もしくは夫婦用のスペースがWebサイト上に設けられる。そこでは、亡くなった人の入学や入社、結婚など、生涯が簡単に紹介された履歴・写真・動画などを閲覧し、生前の故人を振り返ることができる。また親族や友人同士で、故人の思い出などについて語り合える掲示板や、花の写真を選んで供える献花機能もある。一度にアップロードできるデータは50MBまでで、利用料は無料だ。

http://journal.mycom.co.jp/news/2005/09/21/023.html

個人や一族のお墓に関しては、「お墓参りくらい、自分の足で行けよ、というかご先祖様を敬う気持が感じられないよサイバーじゃ。」「なんでもかんでもWebにしてしまうのは、ちょっとねぇ…。」と様々なところでつぶやかれるのは目に見えているが、一つタガが外れると、一気に広まりそうでもある。
まぁ今もお墓参り代行、お墓メンテナンス代行、なんてのもあるくらいだし、個人の判断や自己責任論に回収されるか。ポストモダン的な「行くか、行かないかは、あなた次第です。」




しかし、飯島愛blogの例のように、Web上である程度認知された「キャラクター」の死亡に関しては、「Web墓参り」のような企画がこれからどんどん持ち上がっていくんじゃないだろうか。


香典:315円
献花:105円


で有名人の葬式、お墓運営。
んー、誰もお金払ってまでお参りはしないかもな。
広告収入でサイトが立ち上がる可能性はなきにしもあらず。



お金が発生しなくても、『あしたのジョー』の力石みたいに「同人葬」「ファン葬」が行われる可能性はあるかもしれない。




オタク、腐女子、ひきこもり、負け犬の高齢化問題が少しずつ取り上げられている。
それにつれて、「萌え墓」「おひとりさま墓」あたりは普通に出てきそう(もうある?)*1だが、その先の墓参りについても議論が進んでいくのは予測できる。

あれ、それとも子孫が残らないから全て共同墓地行きになるのか?
となると孤独死者の後処理問題がまた浮上して…。



やっぱり生身の問題に帰ってくるものものを、Webにアウトソーシングするのは少し危険な気がする。
「ネットがあれば政治家はいらない」論に期待はできない。

*1:墓萌えブームは09年にきていたらしい(笑)http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090129/trd0901292105014-n1.htm